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ファーウェイ創業者・任正非氏のAI観ーー「発明は2%、応用が98%」という現実主義

Posted on 1月 19, 2026 By user ファーウェイ創業者・任正非氏のAI観ーー「発明は2%、応用が98%」という現実主義 へのコメントはまだありません
AI Spotlights

中国通信機器大手・ファーウェイ(華為技術)の創業者で最高経営責任者(CEO)の任正非氏が2025年11月14日、ICPC(国際大学対抗プログラミングコンテスト)の幹部やコーチ、入賞者らと座談会を行った。公開された約1万5000字に及ぶ記録からは、AI、教育、人材、そしてグローバル化を巡る任氏の一貫した思想が浮かび上がる。

AIが急速に社会へ浸透するなか、任氏が強調したのは「現実の課題解決」だった。計算能力競争やモデル性能の誇示に傾きがちなAI開発に対し、任氏はあくまで冷静で実務的な視点を貫いている。

以下では、座談会での発言を「AIと技術」「人材と教育」「グローバル化と企業の役割」という3つの観点から編集部が整理し、任正非氏が重視する10の視点を紹介する。

「今後、計算能力はむしろ過剰になる」

任氏は、AI開発を巡る過度な計算能力競争に警鐘を鳴らした。AIの需要は今後も拡大するが、技術進歩によって計算コストはいずれ低下する。重要なのは、計算能力を確保できるかどうかではなく、AIをどのように社会の役に立てるかだという。

この考えは、米中のAI戦略の違いにも通じる。任氏は、米国が汎用人工知能(AGI)や人工超知能(ASI)といった「人類の未来」を問う研究に注力する一方、中国はAIを鉱山、工場、港湾といった既存産業の課題解決にどう活用するかに重点を置いていると指摘した。

「AIにおける発明はわずか2%にすぎず、残り98%は応用だ」

鉄鋼、炭鉱、物流などの現場でAIが生み出す付加価値は、IT企業単体の成果をはるかに上回る。中国が目指すべきは、理論やモデル競争ではなく、応用で先行することだというのが任氏の主張だ。

ファーウェイもAI分野で今後3年から5年間を見据えており、AIモデルやビッグデータ、大規模計算能力を活用して現実の産業課題の解決を目指していくという。

「ネットワークにつながらない計算能力は情報の孤島だ。孤立したAIでは、真の知能は実現できない」

また、ファーウェイにとってAIは重要な技術分野ではあるものの、最優先事項は依然として通信技術だとも明かした。無線通信、光通信、コアネットワーク、データ通信といった基盤がなければ、計算能力は孤立した存在に過ぎない。

任氏の議論は、AIや産業の未来を語るだけでなく、人材と教育の在り方にも及んだ。

「今後は、高等教育を受けた人材が製造現場を支えることが当たり前になる」

生産現場の自動化が進めば、従来型の肉体労働は減少し、精密機械や自動化ラインを管理・運用する高度人材が不可欠になる。ファーウェイでは3年前から地方の学部卒業生3000人以上を採用し、3年間の育成を経て専門資格を取得させ、チップ製造や精密加工の現場に配置しているという。

また、若者の意識変化にも言及した。

「中国の若者は、もはや他国の仕組みをうらやむことはない」

これまでとは異なり、現在の優秀な若者たちはシリコンバレーの高給に惹かれることなく、数人規模で起業し、自らのスキームをつくり始めている。任氏は、こうした動きが今後5〜10年で中国社会に大きな進歩をもたらすと見ている。

一方で、すべての人が頂点を目指す必要はないとも語る。

「高みを目指せるなら挑戦すればよい。ヒマラヤに登頂できなければ、平地に下りて畑を耕す、それも立派なことだ」

任氏は科学分野で高いポテンシャルを持つ高い若者に対し、宇宙や人類の未来を探る分野など高みを目指すよう奨励する。最終的にそこでうまくいかなかったとしても、トップクラスの思考力を生かし“低いところで”ビジネスや基盤産業で価値を生み出せばいいとのこと。

任氏は、米国に対しても感情的ではなく、極めて客観的だ。

「米国には、人を育てるのに適した土壌がある」

世界中の才能が米国に集まることは、科学文明全体にとって好ましい現象であり、ファーウェイもその流れを否定していない。

また、自社が進めてきた「自前路線」についても、例外的な選択だと説明する。米国の制裁はファーウェイ個社を対象としたものであり、中国企業全体が外部依存を断つべきだという意味ではない。

「グローバル化は人類にとってメリット」

可能な限りグローバル化というリソースを活用し、先人の成果を活用して成長すべきであり、むやみに門を閉ざして独自開発にこだわるべきではない。

「大学は人類の未来を探求し、企業はビジネス価値を生み出す」

大学と企業の役割分担についても明確だ。大学は0から1を生み出す研究と人材育成を担い、企業は理論を現実のビジネスに落とし込む。この境界を曖昧にすると、社会は後退すると任氏は警告する。

最後に任氏は、AIの進化スピードについて率直に語った。

「AIは生産性を確実に押し上げている。その成果は3年から5年後に実感できるだろう。しかし、AIの進化スピードが速すぎて10年後、20年後にどうなっているかは、正直分からない」

未来を完全に見通すことはできない。だからこそ、任正非氏は一貫して現実に価値を生むこと、足元の産業と人材を強化することを重視しているだろう。

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[元の記事はこちら](https://36kr.jp/452196/)

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